俊光と菜子のホントの関係
第9章 『勝手にジェラシってる』
――もーうっ、俊光君のバカァー!
なんなのよぉっ。晃君とのことでイヤミを言ったり、あの人とのイチャイチャを見せつけた上に私に『うっとうしい』って言い放ったりっ。ていうか、私も俊光君のこと『キモい』って言っちゃったけどっ……。
私を睨む俊光君を、改めてチラッと見てみる。
俊光君って……睨んでいる顔でさえもカッコいいなぁ。ハッキリとした二重だし、顔立ちも整ってるし……。
って、私ってば! 俊光君にムカムカしてるクセに、何見惚れちゃってんのよぉー!
やっぱり私、うっとうしがられても『俊光君俊光君』になっちゃってる。く、悔しいっ。
悔しいけど……どうしたって俊光君が好きなんだもん。しょうがなくない?
もう、こうなったら開き直って、もっともっと死ぬほどうっとうしく『俊光君俊光君』になってやるんだからねーだっ!
私は睨み合ってる俊光君の左手を、いつもの如く勝手にギュッと握った。
けど握り方は、いつもの握手するようなのとは違う――
指と指を絡ませる『恋人繋ぎ』というのをしてやった。
瞬間、俊光君はギョッとした。