俊光と菜子のホントの関係
第9章 『勝手にジェラシってる』
――なっ……なんだ急に! 睨み合いしてたら、菜子が手を繋いできたぞっ!
しかも恋人繋ぎって……。
待て。待て待てっ。
「おい菜子っ。何でこの流れで手を繋いでくるんだよっ」
「い……嫌がらせっ」
「は?」
「これはね、嫌がらせなのっ。うっとうしい妹が手を繋いだら、もっとうっとうしいでしょっ? だからだよぉーっだっ!」
「なっ……」
「人に見られて恥ずかしくても、家に着くまで絶対に離してやんないからっ! ほら、行くよぉっ!」
「ちょ、菜子っ……」
俺より身長が20センチほど低い菜子が無理矢理引っ張るもんだから、俺は前に倒れそうになりながら歩かされることに。
はぁーーーー……何だよ、それ。さっきまでのイライラムカムカが、この可愛い嫌がらせのせいで一気にどうでもよくなってきた。
あのなぁ、菜子。これ、全然嫌がらせになってねぇから。逆に俺をくすぐったい気持ちにさせてるだけだから。
俺は嫌がらせをされてる立場だから、そのくすぐったい気持ちが菜子に伝わってしまわないように……
けど、温もりは感じていたいから、出来るだけ緩く手を握り返した。