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俊光と菜子のホントの関係

第9章 『勝手にジェラシってる』



 ――俊光君を引っ張って歩いていたら、あっという間に家に着いちゃった……って、し……しまったぁー!

 もっと嫌がらせっぽく遠回りすれば、俊光君ともっと手を繋いでいられたのにっ……。私ってば、何お利口に真っ直ぐ家に帰っちゃってんのよぉー!


「……菜子?」

「はっ。な、何!?」

「着いたけど……」

「あ……わ、わかりましたよぉー……」


 約束どおり、俊光君から手を離してあげた。

 あーあ。もっと繋いでいたかったなぁー……。


「……何? もしかして、俺がうっとうしいって言ったこと、まだ怒ってんのか? すんげー不服そうな顔してるぞ」

「えっ!?」


 私、残念な気持ちが顔に出ちゃってた? やだっ、どんだけぇー?


「あっ……怒ってるとか、そういうわけじゃ――」

「俺が悪かったよ」

「……え?」


 否定をしようとした途中で、俊光君がセリフを被せてきた。


「ごめんな。つい言っちゃっただけで、本気で思ってるんじゃないから……。だから、機嫌治せよ」


 わっ……久しぶりに頭ポンポンしてくれたぁー。

 もっと恋人繋ぎしたかったけど、こんなら真っ直ぐ帰ってきちゃっても良かったかも……。


「あ……私も、キモいって言ってごめんなさい。私だって俊光君のこと、本気でキモいって思ってるワケじゃないから」

「うん……。じゃあ、これで仲直りってことで、いいか?」

「うん、仲直りしよー!」


 私が明るく言うと、俊光君はフワッと柔らかい笑みを見せてくれた。

 思わず、きゅん……。

 あー、なんかさっきまでのイライラムカムカが、嘘みたいに全然しなくなったよぉ。もう、女子生徒さんとのことなんて、どうでも良くなっちゃった。

 私って、現金なヤツだよねー。えへへ。


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