俊光と菜子のホントの関係
第10章 『抑えきれなくて』
――菜子が下で夕飯の準備をしている間、俺は自分の部屋で、机に向かって勉強をしていた。
「……んーーーーっ……」
ずっと同じ姿勢で固定していた体を伸ばそうと、手を組み両腕を思いっきり上げた。
はぁ……勉強したら、だいぶ気が紛れた。こうして一人で落ち着けて良かった。
にしても……。
ふと、家に着くまで恋人繋ぎをしていた左手を眺めてみる。
同じ手繋ぎでも、普通の握手するような手繋ぎとは全然感覚が違うんだな。指を絡ませると、相手の指の太さや感触がよくわかる。
菜子の体形ってワリと肉付きがいいのに、指は意外と細かった。それに、柔らかくてスベスベで。
指がそんな感触なんだから、きっと体の方も…………
「って、おいっ!」
スケベ心を制するべく、両手で机をバンッと叩いた。
何を想像してんだ、何をっ!
菜子の指の感触を明確に思い出していたその流れで、つい勝手な想像にまで至ってしまった。
下に菜子がいるってのに……と思うと、かなりの罪悪感が重くのしかかる。
たくっ、これだから男はっ……。
勉強、延長だな。
「はぁーーーー……参ったなぁー……」
今の俺、ホントに重症だぞ。