俊光と菜子のホントの関係
第10章 『抑えきれなくて』
――夜ご飯のセッティングをするため、私が食器棚からいろいろを出そうとしていたら、リビングのドアがガチャっと開いた。
「菜子」
「あっ、俊光君!」
勉強終わったんだー。
上は帰ってきたまんまのグレーのパーカーだけど、下だけ黒のスウェットパンツに履き替えてる。
ホント俊光君って、ファッションに全然こだわんないよね。家にいる時はもちろん、お外へ出掛ける時でも、どこでも何でも。
でも、顔がカッコいいから、変に着飾らなくても十分魅力的だけどね。
「……お前、やけに楽しそうだな」
「そ、そうっ? たぶん、カレーが楽しみ過ぎて……それでかな」
「そんなに? ははっ、お前らしいー」
俊光君が笑いながら、食器棚に立つ私の隣に来た。
えへへ……つい見惚れちゃった。
気持ちがバレないように、照れ笑いをして誤魔化して、頭の後ろを掻いた。