俊光と菜子のホントの関係
第10章 『抑えきれなくて』
「…………身長が、何?」
はっ!
質問の意図を知らない俊光君は、私を不思議そうに見つめてくる。
「え、えーと……」
「?」
カップルの身長差のことを考えていたことは、絶対隠し通さなきゃ!
だから、
「な、なんか……改めて見ると、『俊光君って大きくなったなぁー』と思ってー……」
と、誤魔化してみた。
「……ぷはっ。何だそれー。
お前は、久々に会った親戚のおばさんかっての」
俊光君は笑いながら私のボケ(ホントは誤魔化しなんだけど)にツッコむと、スプーンとコップと取り皿をテーブルへと持っていった。私はそれを見届けてから密かに「ふひゅー」と息をつき、おでこの冷や汗をグーで拭った。
危ない危ない。親戚のおばさん扱いされちゃったけど、考えてることがバレなくて良かったぁ。
でも、もし俊光君が……私を胸に埋(うず)めながら、デコチューしてきたら……?
「っ!!」
ひゃー!
チョロっと妄想しただけで、顔がボンッと爆発したんじゃないかっていうぐらい、熱が一気に上がっちゃった!
それって刺激強すぎーっ! 妄想だけで鼻血出そーっ!
私は俊光君に見えないように、手に取ったカレー皿で顔を扇いで熱を冷ました。
ちょっとぉー。いくらなんでもそこまではっ……。
好きっていっても、俊光君は実のお兄ちゃん。そんな俊光君に対して、手繋ぎ以上は望んじゃいけないよねぇ? あ、一回腕組みはしたけど……。
だからこうして密かに妄想して、バレないようにキャーキャー盛り上がるしかないんだよ。
うーーん……それって私、かなり寂しいヤツじゃない?
自分でそう思った途端、急激に虚しくなっちゃって、一気に上がった熱は一気に下がっちゃった。