俊光と菜子のホントの関係
第10章 『抑えきれなくて』
「――では……いただきまーす」
菜子と声を合わせてから、カレーに手をつけた。
二人だけでも席は変えたりしないから、いつもどおりの定位置で、並んで座っている。
「んーっ、美味しー。やっぱカレーはいいよねぇー」
菜子、片頬に手を添えて、相当幸せそうにして味わってるぞ。
「お前は何でもいいんだろ?」
「あー、失礼しちゃーう。人を食いしん坊みたいにー」
「みたいに……じゃなくて、そうじゃん」
「むぅー」
ぷはっ、頬をモチみたいに膨らましてるし。
膨れるモチ……もとい、膨れる菜子をよそに、俺はブロッコリーのサラダを適量皿に取ってから口に入れた。
「……うん。うまい。味付けも丁度いいな」
「ホントぉっ!? やったぁー!」
膨れてたのに……あっという間に機嫌が良くなった。
「っ、ぷははっ! たくっ、笑わせるなって」
「へぇ!? 笑わせてないしぃーっ!」
そしてまた膨れる、と。
よくもまぁこの短時間で、気分と表情をコロコロと変えれるよな。
あきないヤツ。