俊光と菜子のホントの関係
第10章 『抑えきれなくて』
その後、夕飯を食い終わった俺と菜子が、
「キャーッ! ま、待ってよぉー、俊光くぅんっ」
「菜子っ、何モタモタしてんだよっ。早くこっちに来いってっ」
「そんなこと言われても、なかなか行けないんだよぉー」
何でこんな会話になっているのかというと……
「ほら、ジャンプしろ、ジャンプを! 落ちるぞ!」
「頭ではわかってるけどっ、コントローラーを操作する手がおっつかないのぉー!」
――そう。テレビゲームをしているからだ。
目に悪影響が及ばないようにテレビと距離を取りつつ、二人で床に座ってゲームにかじり付いていた。
ソフトは、昔から不動の人気を誇り続け、それぞれ赤と緑のイメージカラーを持つ、世界的に有名な双子の兄弟の、アクションゲーム。
俺は、昔からこういうのが得意で、赤の兄を余裕でスイスイと操作をする。
一方の菜子は、昔からこういうのが苦手で、緑の弟をスゲーたどたどしく操作をするから、端から見てるとかなり危なっかしくてハラハラする。