俊光と菜子のホントの関係
第10章 『抑えきれなくて』
お風呂から上がった私は、まだ火照っている体にバスタオルを巻き付けて、ドライヤーで髪を乾かした。
「うーん、さっぱりさっぱりぃー」
きっともう、八時過ぎたよね。俊光君と二人きりタイムも、もうすぐ終わりかぁー。楽しかったからちょっと残念……
とはいっても、お父さんとお母さんにずっと帰ってこないでほしいとか思ってるワケじゃないんだよ? ちゃんと帰ってきてほしいって思ってるんだからね。と、一人で弁解したりして。
さてさて。体が温まってるうちに、早く着替えよーっと。
ランドリーラックに置いてある着替えに手を伸ばした。
「…………ん?」
今、視界の隅で何かが動いたように見えたけど……気のせい?
気のせいとは思いつつも、それとなくお風呂場のある方へ、目を向けてみた……ら、
「ひぃっ!」
せっかくあったまっていた体が、一気にザァーっと冷めていくのを感じた。