俊光と菜子のホントの関係
第10章 『抑えきれなくて』
「……と……俊光、君?」
腕の中でオロオロとする菜子に構わず、更に力を込めて抱きしめると、「あっ……」と小さく声が漏れたのが聴こえた。
乾かしたばかりの髪からほのかに香るシャンプーの匂いが、俺の気持ちを更に高揚させる。
頭にも唇を当てるように、その髪に顔をうずめた。
こんなことをしてしまってどうしよう……とか、今はそんなことは考えられない。
菜子も動こうともしない。もしかしたら、ビックリしすぎて動けないだけかもしれない。
それでも、もう離せない。離さない。離したくない。
このまま菜子に触れていたい。
なんなら――もっと触れてしまいたい。
俺の片方の手は、想いのままに従おうと、
菜子の背中から、徐々に下の方へと動いていく。