俊光と菜子のホントの関係
第10章 『抑えきれなくて』
はぁ……しかし、母さんが帰ってきたことで、ちょっと毒が抜けた。それでもまだムラムラもするし、下半身も落ち着かないけど、このぐらいだったら寝れば忘れられる……
「っ、くしゅんっ!」
と、目の前の菜子が突然クシャミをして、寒そうに身をブルッと震わせた。
……そりゃあそうなるよな。ずっとバスタオル一枚でいるんだから。
「…………ほら。これでも着てろ」
「ひゃっ」
俺は上に着ていたパーカーを脱ぐと、菜子の身体を包むように掛け、おまけにフードまで深く被せた。
「え、コレ……」
菜子が不思議そうに顔を上げる。
「……早く部屋にでも戻って着替えてこいよ。いつまでもバスタオルだけでいたら風邪引くし。アレは、ちゃんと倒しておくから」
何とか平静を装ってそう促したのに、
「あ……。で、でも、俊光君が半袖になっちゃう……」
って、遠慮して脱ごうとすんなよっ。
またスイッチが入ってしまったら、母さんがいても関係なしに止められなくなるんだぞ?
「俺はいいからっ――」
パーカーを取ろうとする菜子の手を制止しようと、両手を伸ばした。