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俊光と菜子のホントの関係

第10章 『抑えきれなくて』


「…………っ」


 い……今のは完全にアウトだろー……。

 わざとじゃなかったにしろ、結局菜子に取り返しのつかないことをしてしまったのに変わりはない。


 兄が妹の胸を、真正面から思いっきりムニッと鷲掴みって……立派な変態だぞっ。

 俺ってヤツは、何て事をっ……。


 罪の意識に激しく苛まれ、胸を掴んだ両手をわなわなと震わせていたら、


「ちょ、ちょっと俊光っ! 何!? 今の叫び声はっ! 菜子どうしたのよ!?」


 母さんが再び姿を現した。


「あっ……えっと……」


 ――俺が、無防備な菜子の胸を両手で鷲掴みして、甘い声を出させたんだ。


 ……無理だ。そんなこと絶対に言えないし、言ってはいけない。


「あ……じ、実はさ……俺がフザけて菜子を押してアレに近づかせようとしたんだよ。そ、それで、菜子がすっ飛んで逃げて……ははっ……」


 せめてと思い、俺が悪者前提でウソをつくと、菜子と同じくアレが大嫌いな母さんはそのことに対し、目をこれでもかというぐらい吊り上げた。


「はぁーっ!? この、バカ光っ! 最低最悪っ! いい歳こいて可愛い妹になんてことすんのっ!
 えげつない意地悪してないで、早くバシッとしちゃいなさいよっ! 倒すまでお母さん絶っっ対に洗面所に行かないからっ! 倒したら教えてよ!? いいわねっ!」


 母さんはいいだけ叱り飛ばし、俺に返事をさせる間も与えずに、ドアを荒々しく閉めてリビングへと引っ込んだ。


「……は……」


 完全に一人になった途端、その場でへたれ込んだ。


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