俊光と菜子のホントの関係
第11章 『一旦距離を置きたい』
脱衣所にある洗面で、性欲まみれとなった下着をコソコソ黙々と洗っているところを、
「……おはよう」
い゛っ!?
早速誰かに目撃されることに。
俺は心臓をバクバクさせながら、恐る恐る脱衣所の入り口に目をやった。
目撃者によっては、俺の体が凍りついてしまう、このシチュエーション。
けど、見られたのが『このことをおおらかに汲み取ってくれる人物』だとわかると、心の底からホッとした。
「俊光。朝から下着を洗ったりして、どうしたんだ?」
「……野暮なこと聞くなよ、『父さん』……」
「ははっ、だよな。すまない」
やっぱり同じ男だから、これがどういうことかを言わずもがなわかってもらえた。
はぁ……父さんで良かった。父さんの呑気な笑みに、ますます安心させられる。
同時に、後ろめたさもあるけど。
夢精の原因が、実は菜子だって知ったら……さすがの父さんも、呑気じゃいられなくなるだろうな。