俊光と菜子のホントの関係
第11章 『一旦距離を置きたい』
「――なーこぉ、おはよぉっ! 会いたかったぁーん!」
「お、おはよぉ、明里……」
元気よく家の玄関から出てきた明里。
すごい。病み上がりとは思えないハイテンション。昨日のことで気落ちしている私からしたら、ちょっと羨ましいなぁ……。
「明里、風邪はもう大丈夫なの?」
「うん! 一日休んだだけですーっかり良くなっちゃったぁ!
あ、昨日晃(ひかる)から聞いたわよー。私のこと心配してたって。ありがとう菜子ぉ、愛してるー」
「ひゃあっ!」
もーう、明里ったら。早速私の胸に飛び付いてきたし。
「あー、一日ぶりのこの感触。やっぱり菜子の胸は、ワタシの元気の源だわぁー」
って、真正面から両手でムニムニ揉んでウットリしてる。そんなに私の胸っていいのかなぁ?
あ、でも……このシチュ。昨日と一緒だぁ……。
いつもの私なら『明里のエッチ!』とか言って、嫌がったりウンザリしたりするんだけど……ちょっと確認してみたくて、そのままされるがままになってみた。
…………うーーん。
「……ん、菜子ぉ? いつもと反応が違うけど、どしたの?」
「やっぱり、明里だと何も感じないよぉ」
「はい?」
「変な声も出ないし、全然ムズムズウズウズもしない。
あの反応は、俊光君限定なんだぁ……」
「な、何言ってんの? おーい、菜子ぉー」
明里が顔の前で手をひらひらと振ってきているのはわかるけど、私は昨日のことで悶々としちゃっていて、リアクションを取るどころじゃなかった。