俊光と菜子のホントの関係
第11章 『一旦距離を置きたい』
――ふぅ……バイトも終わったし、あとは家に帰るだけか。
夜の八時過ぎ。俺は大学の最寄り駅のホームにいた。けど電車はたった今行ったばかりで、人も疎ら(まばら)にしかいない。遮る壁もない晒されたホームだから、外の暗闇とひんやりとした空気が、よりひっそり感を演出している。
次が来るまで時間が空くな。ゆっくり待とう。
近くのベンチに腰をかけた。
……図書館のシフト、早速来週から増やしてくれることになったな。
『実は人手が欲しかったからちょうど良かった』と歓迎してもらえたおかげで、秘めた私情で頼んだ俺も気が楽になれた。
そういや俺……今日はまだ、菜子に会ってないままだったんだ。それは、俺が避けるように早く出たからというのもあるんだけど。
アイツ……今日、どんな様子だったんだろう。
いつも何かしら送ってくるNINEも、今日は何も来なかった……。とはいえ、こっちからも何も送ってないしな。
もしかして俺のこと、マジで変態だと思ってたりするのか? それで警戒してたりするのか? なんて、つい自分の首を自分で絞める憶測をしてしまう。
だとしても、それは自業自得ってヤツなんだから仕方ないことなんだけど……
想像しただけでもヘコんでしまいそうな自分がいる。
なんか俺……どんどん情けなくなっていってるぞ。