俊光と菜子のホントの関係
第11章 『一旦距離を置きたい』
「菜子、何で被害者のお前が謝るんだよっ」
「そ、そんなぁっ。被害者なのは俊光君でしょう!?」
無防備な妹の胸を鷲掴みした俺が被害者? 悪いけどそれ、意味不明だから。
「あのなぁ、俺のどこが被害者なんだよ。どう考えても被害者は、胸を鷲掴みされたお前だろっ?」
「だって、俊光君はわざとじゃなかったのに、妹の私が、あんな変な反応しちゃったからっ……。
だから俊光君、見苦しかっただろうし聞き苦しかっただろうなって思って……」
とかいって、身を縮こませて小さくなってるけど……
見苦しい? 聞き苦しい? ホントに悪いけど、ますます意味不明でしかないんだって。
それどころか俺は、抑えきれないぐらいに欲情して夢精までしたんだぞっ。むしろ、もっと見たいしもっと聞きたいぐらいだっ。
と、頭に血が上(のぼ)った勢いで放ちそうになった変態発言は、ギリギリ寸前のところで理性が働き、無事に口の中でとどまってくれた。
危なっ。こんなこと言ったら、しばらくの間俺から距離を置くハズが、一生菜子から距離を置かれることになるっつーの。