俊光と菜子のホントの関係
第11章 『一旦距離を置きたい』
「あ……あのなぁ、菜子。俺は別に、お前にそんな嫌悪感を抱いたりしてないんだぞ。悪いことをしたって反省してるぐらいなんだから」
変態な部分だけひた隠しにして、菜子に言った。
「悪いことだなんて……俊光君はわざとじゃないのわかってるよ?」
「わざとじゃなくても、好きでもなんでもないヤツが、胸を触ったりするのって犯罪級だろ?」
「わっ、私、俊光君のこと――
好きでもなんでもないヤツとか思ってないもんっ」
「…………えっ?」
それって……?
「あっ……だってほらっ……俊光君は、私のお兄ちゃんなんだしっ。だから、好きでもなんでもないことないんだからね!」
菜子はどこか慌てた様子で手を上下にバタバタさせながら、セリフの補足をしてきた。
あ……だよな。そういう意味に決まってる。菜子からしたら、俺は実の兄なんだから。
なのに俺、一瞬だけ
『一人の男性として好き』
っていう意味なんじゃないかと思ってしまった……。
あー、やっぱり今の俺ダメだな。そういう勘違いまでしたりするって……
いや。勘違いというより……無意識の願望?