俊光と菜子のホントの関係
第11章 『一旦距離を置きたい』
「……あ。そうだ、菜子。早く泣き止んでさ、俺にくれよ」
「へぇ……? 何を?」
菜子のポカンとした返しに、ぷはっと笑ってしまった。
あんなに嬉しそうに話してたのに、私が準備してあげるねって言ってたのに、もう忘れたのかよ。ちょっと物忘れが過ぎるぞ。
「何をって、決まってるだろ? お前も一緒に作ったていう、美味しいチーズ入りハンバーグをだよ」
「……あ」
「用意してくれるか?」
「うん、もちろんっ。えへへー」
やっと笑った。けど、笑っても結局は子供みたいだな。
子供みたいだけど……好きだよ。
本当に……こんな兄で、ごめんな。