俊光と菜子のホントの関係
第11章 『一旦距離を置きたい』
「でも……そうは言ったって、すぐに諦められるもんでもないでしょう? なのに無理して諦めようとしなくてもいいじゃない。『好きでいるだけならいいよね』って、菜子自身も前に言ってたじゃん」
明里、私を映し出す鏡みたい。表情が一緒……。
顔を悲しそうに歪ませて、今にも目から涙を溢しそうで。
明里を通じて実感した自分の心境に気持ちが込み上げちゃいそうになったけど、なんとか無理矢理抑え込んだ。
「うん。言ってたし、私も出来ればそうしたかったよ。
けどね……やっぱりダメだよ。エッチまでしたいなんて思い始めちゃったら、もう終わりにしないといけないんだよ。
私と俊光君は、兄妹なんだし。
これ以上好きでいたら、一昨日よりももっと態度で示しちゃいそうなんだもん。俊光君にはそんな私の変な部分を知られたくないし、困らせたくないんだ」
「っ……菜子……」
昨日の優しい俊光君がスッと過っちゃうと、自分の変な想いが余計に苦しい。
「だからね、俊光君から少しずつ離れていこうと思うんだ。今までよりももっといっぱい遊んだりしたりしてね。そうすれば俊光君ばっかりにならないで、気が反れるでしょ? そのうちに他の人にも目がいくようにもなるかもだし。
だから明里、たまに泊まりに行ったりしてもいいかなぁ?
そうじゃなくても、明里んちにお泊まりとかしてみたかったんだー。逆にさ、うちにも泊まりに来てよー」
気持ちを振り切りたくてゴチャゴチャと捲し立てて言った。
それを明里は、ただ黙って聞いててくれていた。