俊光と菜子のホントの関係
第12章 それから――
「本当。特に菜子に関しては、いつも『俊光君俊光君』だったのが、今は明里ちゃん達ばっかりになってきてるわよね」
「まぁ……それもそうか。二人だってある程度大きくなれば、どうしてもそれぞれになっていくだろうし」
「わかってはいるけど……いざとなると、やっぱり寂しいものねぇ……」
「二人にも、そのうちいい人が現れたら、ますます離れていくんだろうなー……」
「ぷっ。やだぁー勝治さんったら。想像だけでうるうるしちゃって。実際に現れたら号泣じゃない?」
「からかうなよ美都子。俺は真面目に寂しがってるんだから」
父さん……母さん……。
泣いているような、でも笑っているような。そんなどっちつかずな表情を寂しげに浮かべる二人の親心に、子供である俺は奥からぐっと込み上げてくるものがあった。
二人とも、ごめん。俺が菜子と距離を置いたばかりに、急に寂しい思いをさせて……。
――俺が妹を……菜子を、好きになったばかりに……。
顔出すの、あとでにしようかと思ったけど……やめた。
「……ただいまー。うぅーすげー寒かったぁー」
寂しがっている二人にすぐに寄り添いたくなった俺は、たった今帰って来たような素振りで、リビングへと入っていった。