俊光と菜子のホントの関係
第12章 それから――
「あれは……?」
何事かよくわからないまま、それでもとりあえず邪魔にはならないように、道の端に避けてから近づいていった。
すれ違いそうなところで足を止め、列を横から眺めてみると――並んで歩いているのは、下は幼稚園児ぐらいから、上は小学校高学年ぐらいまでの子供達だった。
全員白いベレー帽を被っていて、純白の祭服に身を包み、炎が謙虚に灯るキャンドルを、両手で添えるように大事に持っている。歌っているのは讃美歌で、一人一人の高く澄んだソプラノが合わさって、美しいハーモニーを奏でている。
……そうか。今日はイヴだから礼拝があったんだ。そういえば、近くに教会があるよな。そこから歩いて町を巡回しているのかもしれない。こういうのって……『キャロリング』って言うんだっけ?
他の見物客も道の両端で、静かに見守るように眺めている。その中に混じって、ビデオをプロのカメラマン張りに真剣に撮っているのは、キャロリングに参加している子供らの保護者達だろうな。
眺められようが撮られようが、子供達はそんな周りに気を取られてしまうこともなく、真っ直ぐに見据え、ゆっくりと歩いてゆく。
みんな、本当の天使みたいだ。キャンドルに灯る炎が、それぞれの瞳をあたたかく照らし、それが、神聖な雰囲気をより醸し出す。見ているこっちまで、心がキレイに洗われるようだ。
……この中に菜子が混じっても違和感なさそうじゃないか? 高校生だけど、小学生並みの童顔だから。
心が洗われると感じたそばから、余計なことをイタズラに思い付くと、不謹慎にもプッと笑いを漏らしてしまった。