俊光と菜子のホントの関係
第12章 それから――
天使のような子供達が通り過ぎたのを合図に、見物客達は神聖な雰囲気の余韻に浸りながら散っていった。
すっかり見入ってしまった。今何時だ?
コートのポケットからスマホを取り出して、操作をし始めると、
「……ん? 何これ?」
白くて小さな綿毛のような物が、袖に寄り添うようにふわっと落ちてきた。
目に近づけてよーく見た。……綿毛じゃないな。
――何か六角形の形をしているけれど、花のようにも見える。
……っ! これって――
何かとわかると、居ても立ってもいられない気持ちになり、パッと空を見上げた。
真っ暗な夜空から、袖に落ちたのと似た白い物が、一つ……二つ……三つ、四つ、五つ六つ七つ……と、次第に数えきれない量となって、ハラハラと柔く舞いながら降ってくる。
あぁ……やっぱり。
「雪だ……」
通りかかった人達も足を止めて、わぁー……とため息混じりに声を漏らし、雪に目を奪われている。
スゴい。雪って降るだけで、なんでこんなにも幻想的な雰囲気になるんだろ……。
まるで、天使が空から羽をプレゼントしているみたいだ。今日という特別な日だし、さっきまで天使のような子供達を眺めていたから、どうしてもそう思わずにはいられない。
数年に一度の寒波も、いい演出をするんだな……。
ロマンチックに拍車をかけるようなことを考えだすと、自分の中で幻想感が増し、ますます雪の世界にのめり込んでいった。