俊光と菜子のホントの関係
第14章 『俊光君への兄(本命)チョコ』
「えっと……いいや。使っているなら、またあとにする」
「えっ……?」
離れていこうとするセリフに、ドキマギして右肩上がりしていた気持ちの折れ線グラフは、ガクッと急降下した。
『行かなくてもいいのに』的なセリフが、ポーッとしてしまっている頭では上手く思い付かなくて、
「あーと…………ごめんね?」
私は、ポツリと謝ることしか出来なかった。
「いいって。まだ時間に余裕あるから」
あ……。
俊光君、ホントに洗面所から離れていっちゃった。
前だったら、『早くかわれよー』とか言ってずいずいと入ってきて、私と面白楽しく洗面台の争奪戦をしていたのに……。髪だって、ちゃんと見てもらいたかったのに……って、
「……はぁーあ……」
私ってば、矛盾してるし……。
自分から離れていこうとしているクセに、俊光君から離れられると、離れてほしくないって寂しがる。
寂しい思いをした分、ますます恋しくなっちゃって、それでどんどん好きになっちゃっている。
私……全然気持ちが離れられていない。離れられないよぉ。
実のお兄ちゃんに本気で恋しちゃうなんて、もうダメなのに。
いっそうのこと、他の誰かを好きになれたらいいのになぁ……。
なんて考えていたからなのか、わかんないけど……
「――お、おれっ……池崎さんが好きなんだっ!」
「………………へぇっ!?」
学校で、男子から告白されちゃった。