俊光と菜子のホントの関係
第14章 『俊光君への兄(本命)チョコ』
短い休み時間に、わざわざ階段の踊り場まで呼びだして何なんだろう? って疑問を持ちつつも、一応付いてきてみたら……コレだった。
告白するのには変なタイミングだなぁーって思えるけど、それは人それぞれのタイミングがある、っていうヤツなんだろうね。
それにしても、この男子は私のことを知っているみたいだけど、私は……知らなかったりする。
「あのぉー。どうして話したことのない私を?」
「その……友達と一緒にいるところを初めて見かけた時に、無邪気に笑っててスゴく可愛いなーって思って……。それから、ずっと気になってたんだ」
えっ、か……可愛いっ?
「あっ……ソウ、デスカ……」
私は恥ずかしくなって片言になって、この男子と目を合わせきれなくなって俯いちゃった。
ひゃーっ。知らない男子から、照れながら『可愛い』とか言われちゃったよぉ。
私、気持ちがこんなにストレートに伝わってくる告白をされたの、初めて……。ていうか、告白されること自体初めてなんだけどね。
呼び出されて行く間際に、明里が耳打ちで『隣のクラスの人で、バスケ部らしいよ』と教えてくれたこの男子は、精悍(せいかん)な顔をしてて、背が高くて、学ラン着てても体つきがガッシリしてるのがわかって、
いかにも『おれ、スポーツしてます!』って感じ。
そんな人が、私を好きなんだぁ……。
初めて『告白され体験』をさせてくれた『スポーツしてます男子』を、この世で一番珍しい存在かのように見入っていたら、
「……池崎さんっ!」
「はっ、はいぃっ!」
び、ビックリしたぁ。いきなり踊り場中に響き渡るほど、声を張り上げるんだもん。私、つい恐れ入って、背筋ピーンと伸ばして『気をつけ!』をしちゃったよ。