俊光と菜子のホントの関係
第14章 『俊光君への兄(本命)チョコ』
「――んで、結局『ごめんなさい』しちゃったのねー」
「うん、そうなんだよぉー……」
あっという間の放課後。私はいつもの五人組で、利用している路線の中で、一番栄えている駅の街をブラブラ中。
エリナと他の二人は先の方を歩いていて、私と明里はその三人の後ろの方で、休み時間にされた告白のことをコソコソと話していた。
「いや、それでいいと思うよ? 付き合っても好きにならなかったら、それはそれで失礼な話だしさ。
第一そんな付き合い方、菜子の柄じゃない」
「明里の言うことはごもっともなんだけど……そうでもしないと、俊光君のことを諦められそうになかったんだもん……」
私、ホントに告白を受けようと思ってたのに……。
『私でよかったら、よろしくお願いします!』って言う寸前のところで、私の気持ちの中で急に、あのスポーツしてます男子と俊光君が、天秤で均等にかけられているのがパッと出てきて、どっちつかずでユラユラとし始めたの。
最初は、付き合おうって決めていた、スポーツしてます男子の方に片寄りつつあったのに……
俊光君の静かに微笑んだ顔とか、私の頭をポンポンして優しく宥めてくれたこととかが、頭の中で巡り巡っちゃった途端――
ユラユラしてた天秤が、俊光君の方に重みが増して、大袈裟にガターンって片寄っちゃって。
気づけば私は――
(わたしぃーっ……には、他に好きな人がいるのでっ! だからっ……ごめんなさぁいっ!)
と、悪いことしたお詫びみたいに頭を深々と下げて、お断りをしちゃってたんだよぉー……。