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俊光と菜子のホントの関係

第14章 『俊光君への兄(本命)チョコ』


 *


 バレンタインデーの今日も、いつもどおりに朝ご飯を美味しく食べたあと、


「えーと、ここをこうしてねじってー……」


 洗面所の鏡の前でうんしょうんしょとしながら、明里から習ったヘアアレンジに挑戦中。

 どんなのかと言うと……ねじりを加えた、ゆるふわサイドポニーテールなんだー。

 明里は『簡単だよ』と言って教えてくれたけど、普段あまりしないアレンジだから慣れなくて、上げっぱなしの腕の筋肉が若干ぷるぷるしてきちゃってる。いつもの鼻歌を歌う余裕もないのぉ。


 うぅー、がんばれ私ぃ。

 可愛い髪型にして、俊光君に兄(本命)チョコを渡すんだからっ。


 その想いで自分を励ましながら、アレンジと格闘すること数十分。

 やっと出来上がってきたヘアアレンジの、最後の仕上げに使うのは――

 私が中学二年生の時に、原宿で俊光君が買ってくれた、ピンクの花モチーフに白いパールが付いたヘアゴム。

 あれから二年以上経っているけど、大事に大事にしてたから、ゴムも伸びたりしてなくてバリバリ健在だもんね。

 これを髪にくくりつければ……


「はぁーやったぁー! やっと完成したよぉー!」


 あまりに嬉しくてガッツポーズをしちゃった。


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