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俊光と菜子のホントの関係

第14章 『俊光君への兄(本命)チョコ』


 ニマニマしながら首を動かして、髪型を鏡越しでくまなくチェックしてみる。

 左側の耳の下辺りで結った髪は、あらかじめ毛先をヘアアイロンで巻いておいたから、上手い具合にふわっとした柔らかな束になってる。これも明里のアドバイスのおかげだね。

 でも……ホントに大丈夫だよね? 私がしたヘアアレンジ、変なところないよね? セーラー服にもちゃんと合ってるよね?

 それと俊光君、この髪型とこのヘアゴムに気づいてくれるかなぁ……?

 これで俊光君にチョコを渡すと思うと……ひゃーっ。なんだか緊張しちゃう。毎年フツーに渡せてたのに、今回だけはドッキドキもんだよー。


 なんせ、俊光君への最後の本命チョコだもんね。


 だから……どうか、どうか、ちゃんと渡せますよーにっ!


 神様がそばにいるつもりで、手をパンッパンッと叩いて真剣に拝む。


「……菜子。あんた寝ぼけてんの? ここは神社じゃなくて、ただの洗面所よ?」

「ひゃあ! お、お母さぁんっ! いるなら言ってよぉーっ!」


 洗面所の入り口で、冷やかすように顔だけを覗かせていたお母さんにどビックリ! ただのドッキドキが、激しいバックバクになっちゃった!


 ――もーうっ! これから妹がお兄ちゃんに本命チョコを渡そうとしているんだから、気持ちを乱させないでよぉーっ!


 ……なーんて言ったら、今度は私がお母さんをどビックリさせちゃうだろうなぁ。えへへ……。


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