俊光と菜子のホントの関係
第2章 『俺と菜子』
「……やっぱごめん。例えただの風邪でも、苦しそうな妹を放っておくワケにはいかないんだ……。
せっかく誘ってくれたのに、本当ごめん」
『っ、何でよっ!』
「え。よ、吉野っ?」
ヤバい、怒らせた。
『私、すごい勇気を出して池崎を誘ったのにっ! 池崎だって、行こうって言ってくれたじゃん!』
うわ、すごい責めてくる。悪い流れになってきてしまった。それでも、何とかわかってもらわないとっ。
「そ、それはわかってるし、急で本当に悪いと思ってるっ。
だけど、妹が――」
『なっ……なによっ、さっきから『妹、妹、』って!
たかが妹が風邪引いただけじゃない! そんなに妹が大事なのっ!?』
「っ……!」
『たかが妹』……だと?
今のはさすがにカッときて、頭の血管までブチッと切れそうになった。
菜子の存在を『大したコじゃない』扱いって、俺の中ではあり得ないから。
あのな、吉野。俺にとって菜子は『たかが』じゃないんだ。
あぁそうだよ。そんなに妹が――菜子が、大事だよ。
兄なのに、妹が好きなんだよ。
悪いかっ。