俊光と菜子のホントの関係
第2章 『俺と菜子』
「そりゃあ、家族だから大事に決まってるだろ。だから放っておけないんだ。
そういうわけだから。本当にごめん。じゃ」
『あっ、いけざ――』
淡々とセリフを並べ立て、プッ……と半ば強引に電話を切った……が、『あーあ。やってしまった……』って、あとから後悔もした。
元はと言えば、俺が中途半端な気持ちで映画の誘いを受けたのがいけなかった。こんなことなら、ちゃんと断れば良かった。
それでも、菜子に対するその発言は許せなかった。
いくら真剣な気持ちで必死だったとしても、それだけは言ってほしくなかった。