俊光と菜子のホントの関係
第15章 『兄チョコに隠されていた想いに……』
もし、あのあと……菜子がすぐに離れなかったら、
(――だって……俊光君は……
私にとって、たった一人のお兄ちゃんだから。
かけがえのない、大好きなお兄ちゃんだから)
あのセリフをすぐに言わなかったら――
俺は大学に行くことがどうでもよくなって、
菜子にも高校に行かせたくなくなって、
アイツを部屋に引っぱり込んで、ベッドに思いっきり押し倒して、
本能の赴(おもむ)くまま無理矢理していた……絶対に。
「……っ、はぁーーーー……」
たくっ……アイツは何だっ。妹のクセに、何回兄の理性をぶち壊せば気が済むんだっ。
けど……俺も自分から菜子の顔を間近で見たり、髪型とヘアゴムのことにどうしても触れたくなって『似合ってるよ』って言ったりと、自爆行為をしたりして……。
「……っ、はぁーーーー……」
せっかく距離を置いて落ち着いてきてた気持ちが、ちょっと菜子に接近しただけで、キレイさっぱりリセットされてしまった。
だから今、こんなにも胸が苦しい……。心臓をギリギリと握りつぶされてるみたいだ。
どうすんだ、これ……。