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俊光と菜子のホントの関係

第15章 『兄チョコに隠されていた想いに……』





 二時限目も終わり、やっと昼休憩の時間になって学食へ。

 白を基調とした清潔感のある学食は、学生だけでなく一般の人も利用可能。サラリーマン風の人もいれば、小さな子供を連れた母親達もいるから、ランチタイムのファミレスかのようにいろんな声がわいわいと賑やかに飛び交い、和やかな雰囲気を作り出している。

 なのに俺は、


「はぁーーーー……」


 和やかな雰囲気にそぐわないため息を、今でも吐き続けていた。


「ふふーん。今日のオススメランチ定食、おれの好きなもんばっか。ラッキー」


 ベリーショートの爽やかな祐太が、まだ食ってないのに美味しそうに定食を持って、俺の左隣に座りかける。


「どうよ、俊光。コレ、いいだろー」

「あぁ。良かったな、祐太。はぁーーーー……」

「…………」


 ため息を吐く俺を見た途端、祐太は、美味しそうにしていた顔から、すうーっと不味そうな顔へと変えていった。


「なーんか今日の俊光とは一緒に食いたくねぇな……。
 てなわけで悪いけど、おれ、あっちで食うから。んじゃ」


 祐太は、まわれ右しながらあっさりと容赦なく言い捨て、そそくさと遠く離れた別グループのところへ避難しに行ってしまった。

 友達に見離された喪失感も相まって、俺はより深いため息を吐いた。


「……おい。菜子ちゃん煩(わずら)いもその辺にしとけ。このままだと祐太だけじゃなく、みんなからも厄介者扱いされるようになるぞ」


 智樹が普段の俺を取り戻そうと、片側の肩を掴んで揺さぶってきた。


「はぁーーーー、けどなぁー……」

「午後も90分ある講義を二回受けなきゃいけないんだ。よく食ってよく噛んで、脳を活性化させとけ。
 午前中みたいに、ため息吐いて悶えて終わりじゃあ、講義に出てる意味もねぇんだからな」


 厄介者の俺から離れずに、右隣で残ってくれている智樹が正当に諭すと、俺のせいで不味くなっているかもしれない鉄板メニューのカレーを、当たり前に口の中へと運んでいった。

 俺も、目の前のハンバーグ定食に箸を伸ばして、のそのそと食を進めてみる。ハンバーグは、俺のため息をモロに浴びていても、ジューシーでちゃんと美味しかった。

 ……少しだけ、心が救われた気がした。


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