テキストサイズ

俊光と菜子のホントの関係

第15章 『兄チョコに隠されていた想いに……』


「……あっ、いたいたぁー。久我くーん!」


 テーブルのそばに、女子グループがわらわらとやってきた。同じ学部の顔馴染みの女子と、違う学部の馴染みのない女子とが入り混じっている。

 智樹は慣れた感じでパッと愛想を良くし「よぉ」と軽く挨拶をした。


「はいこれー。わたし達からのバレンタインチョコレート!」


 女子グループがそれぞれのチョコを、智樹の前に、次から次へと納めていく。なんか、神様にお供え物をしているようにも見えるな。


「おースゲー、こんなにたくさん。いやー嬉しいなー。
 みんな、どうもありがとう」


 智樹がここ一番の笑顔を振りまくと、女子達は途端に表情を華やがせ、キャアキャアと盛り上がった。

 智樹の対応っぷりが、どんどんアイドル化していってる。コイツ、ホントにスゲーな。


「……お前、今ので何個目だ?」


 女子グループにひらひらと手を振って見送った智樹にコソッと訊いた。


「んー……いちいち数えてねぇからわからねぇ。
 ハッキリとわかるのは、『今年もありがたいことに、しばらくは甘い物には困らない』……ってことだな」


 智樹は量に怖じ気づくこともなく、平然と当然の顔をして言った。

 智樹の足元を見てみれば、貰うチョコの量を想定したであろう紙袋が置いてある。コートとかジャケットとかをニ・三着ゆったりと入れられるぐらいのビックなサイズだ。

 けど、すでに朝から貰い続けていたチョコでパンパンになりつつあるビックなサイズの紙袋に、今新たに貰ったチョコを追加すると、もうはち切れる寸前。高校時代もかなりの量を貰っていたけど、明らかにそれを上回っている。

 そろそろ段ボールにでもした方が良さそうじゃないか? もう破れるんじゃないかと、見てるこっちがハラハラする。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ