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俊光と菜子のホントの関係

第15章 『兄チョコに隠されていた想いに……』


 俺がどこからか段ボールを貰ってきてやろうかと、智樹を気にかけるよりも先に、


「……なぁ。菜子ちゃんからのチョコ、持ってきてんだろ? 中身は見たのか?」


 と、チョコでパンパンの紙袋から顔をあげた智樹から、思い出したかのように訊かれた。


「えっ……? いや、まだだけど……」


 俺の戸惑う反応を見てか、智樹はいたずらにニヤニヤしだす。


「ふーん……。ならさー、どんなのか今見てみようぜ」

「はぁ? 何でお前が見るタイミングを決めるんだよ。貰ったのは俺だぞ」

「えー、いいじゃーん。ラブリーな妹ちゃんからのバレンタインチョコ、見たい見たぁーい」


 うげ。ぶりっコしながら体をねちっこくくねらせてる。


「ほらほらぁ、早く早くぅー」

「たくっ……。はいはいわかった、わかりましたよ」


 智樹の気色悪さに負けた。

 ホントは人気(ひとけ)のないところでじっくり見たかったけど……まぁ、いいか。なかなか見るタイミングもなかったし、俺もずーっと気になってはいたから。

 俺は、リュックに大事にしまっていたチョコの小箱をそっと取り出した。入れていた小さな紙袋は、シワがつかないように畳んでファイルの間に挟んである。


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