俊光と菜子のホントの関係
第15章 『兄チョコに隠されていた想いに……』
本、命……?
智樹から、改めて『全部ハート』を目に映すと……
「っ……!」
心臓が強くドクンと打たれ、顔も身体も一気に熱くなった。
「いやいやっ、ないだろそれはっ。アイツからしたら、俺は血の繋がった兄なんだから。これは、ただの兄チョコだってっ」
(――かけがえのない、大好きなお兄ちゃんだから)
朝の菜子のセリフを思い出しては、智樹の囁きから逃げるように否定した。
本命なんて、そんなことあるわけねぇって。
そんなこと……あるわけが……。
「……ま、それもそっか。菜子ちゃんは根っからの兄ラブだもんなー。俊光にそういったチョコをあげても、別に不思議じゃないか」
智樹は自分の言ったことを頑として押し通すとかをしないで、すんなりと引き下がった。
否定をしたものの……なんで俺、『本命』ってのが、こんなにも心に引っかかっているんだろう。
これも俺の願望なのか?
それとも…………
「……おっ。俊光、そろそろ食い終わらないと時間がなくなるぞ」
「あっ、あぁ……」
いや。まさか……なぁ……。