俊光と菜子のホントの関係
第2章 『俺と菜子』
日曜日が明けた朝、学校の下駄箱で偶然あった吉野に「話がしたい……」と及び腰で言われ、二人で人気(ひとけ)のない校舎裏へと移動した。
昨日の今日だから、爽やかな朝にはふさわしくない、重く気まずい空気が漂う。
その中で、吉野が最初に口を開いた。
「池崎。昨日は……ごめんね」
「え……」
「私、ついあんなヒドいことを……。本当は言うつもりなんてなかったの。
家族なんだから、大事にするのは当然なのにね」
ややうつむいたまま、ポツポツと謝ってきた。
吉野が、昨日のことを反省しているのが、手に取るように伝わってきた。
本人も、本気で思って言ったワケではないんだな……。とはいえ、思っていなくても、もう二度とあんなことは言わないでくれとは思うけど。
「俺も……ドタキャンしてごめん。
吉野の気持ち、踏みにじった形になった」
「……ううん……」
俺も素直に謝ると、吉野は安堵の表情を浮かべた。
そしたらもう、昨日の件はこれで解決……ってことでいいか。
同じクラスだから、俺がいつまでも根に持っていたら、吉野が居づらくなってしまう。そんなの、俺だって気分が良くない。
昨日言われた分、菜子を大事にすればいい。そう思おう。