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俊光と菜子のホントの関係

第15章 『兄チョコに隠されていた想いに……』


 菜子のことでまた悶々としている間に――


「実は、オレも……高橋のことが好きなんだ」


 佐藤も、自分の想いを高橋に打ち明けた。

 二人は――両想いだった。

 わ……なんか、俺までジーンときた。『良かったな』って素直に心から祝福したくなる。

 想いが通じ合った瞬間って、他人のでもこんなに感動するもんなんだな。


「うそぉ……嬉しい、夢みたいっ……」

「わっ、何も泣かなくても」

「だって……ぐすっ……」

「ありがとう、高橋。オレ……お前のこと、絶対に大事にするから」

「佐藤くん……」


 強く愛を誓う佐藤に、高橋は熱っぽく寄り添うような声で佐藤の名前を口にする。


 感動は、したけど……

 これ以上はさすがに恥ずかしくて、聞くに堪えない――

 
『パンポロペンポンポンポロポーン♪』


「ーーーーっ、うっわぁーっ!」


 突然、二人の雰囲気に全くそぐわない愉快な音が軽快に鳴り響いたのに驚いて、ガタガタと机と椅子にぶつかりながら立ち上がった。


『パンポロペンポンポンポロポーン♪ パンポロ……』


 この音は、俺のスマホからだ。前に智樹がスマホを勝手にいじってふざけて着信設定した、料理番組のテーマ曲のイントロ部分。

 よりによってこんな時に『パンポロペンポンポンポロポーン♪』って……。慌ててスマホを取り出して確認してみれば、サイトからのどうでもいいお知らせメールだしっ……。

 こうなれば当然、


「えっ、池崎君っ……!?」

「んだよ、池崎っ! いたなら言えよっ!」


 二人にまんまと気づかれてしまったというわけで。


「あっ……ご、ごめんなっ! すぐ出るから、そのまま続けてて」

「続けられるか、アホッ!」


 いい雰囲気を覗かれて顔を真っ赤にする二人に、俺は申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、もう一度心から謝り、

 更に、余計なお世話だとわかっていながら「それとお幸せに!」も付け加えると、ダッシュで教室から出た。


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