テキストサイズ

俊光と菜子のホントの関係

第15章 『兄チョコに隠されていた想いに……』


「あっれぇ? 俊光、まだこんなとこにいたのぉ?」

「っ、ゆ、祐太っ……」


 祐太が、昼休憩の時みたいに俺を避けないで、清々しい風のような笑顔を振り撒きながら近づいてくる。もう俺のことを厄介者扱いしていないみたいだ。


「おれ、今からサークルに行くところなんだー……ん?」


 祐太は、俺が隠す暇もなかった菜子のチョコを見るなり
「おっ」と目を張った。

 冷やかされる。そう思って身構えた。



「な、何だよ、祐太……」



「それ――『本命チョコ』じゃんかぁ。
 俊光ぅ、やるなぁー」



「…………は?」



 予想どおり、肘で俺を突っつきヒューヒューと冷やかしてきた祐太が、

 ずっと引っかかっていた『本命』という言葉まで、すんなりと発するとは思わなくて、

 俺の何もかもが、ピタッ……と停止した。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ