俊光と菜子のホントの関係
第15章 『兄チョコに隠されていた想いに……』
『本命だったりして』と憶測で言っていた智樹とは違い、祐太のは『本命チョコじゃんか』と明らかに断定したような口振り。
え……まさか。ウソ、だろ?
信じがたい気持ちがぐるぐると渦巻く。
完全に治まりきれていない心拍数も、また更にドキドキと上がっていく。手だって震えてきている。
「女っ気がなかった俊光にも、とうとう春が来たのねー。今夜はお赤飯を炊かなきゃだわん」
「祐太っ。このチョコのこと知ってんのかっ?」
ウキウキしながら母親風を演じる祐太に、俺はツッコむ余裕もなく掴みかかるみたいに質問を重ねた。だからか、若干たじろがせてしまった。
「あ、あぁ……。実は昨日、女友達が『男の意見を参考にしたい』つって、バレンタインチョコの買い物に付き合わされたんだ。で、そん時にその本命チョコを見かけて知ったってわけ」
このチョコをくれたのが妹だってことを知らない祐太は、『見かけた』という確かな証拠を、普通にサラッと突きつける。
これが……本当に本命チョコ?
ということは、
高橋と意味合いが一緒、ってことになるのか?
菜子が俺のことを、兄としてじゃなくて――
一人の男として、
好き……?
「っ……!」
一気にのぼせてしまい、クラッと目眩がした。
いやっ……いやいやいやっ!