俊光と菜子のホントの関係
第2章 『俺と菜子』
「でさ……リベンジしてもいい?」
「え、リベンジ?」
「うん。映画……まだ期限はあるし、別の日に一緒に行きたいんだけど……」
「…………」
「池崎……」
黙ったままの俺に、吉野は不安そう。
だけど、答えはもう決めている。
俺は……他のコに目を向けても無駄だと、今回のことでよくわかった。
だからこれ以上、吉野に気を持たせちゃいけない。例え、傷つけることになっても。
「吉野。悪いけど、リベンジはさせられない」
「えっ……」
「俺はもう、吉野と二人では行けないんだ。
だから……ごめん」
これが、吉野の気持ちに対する、俺の答えだった。
吉野だけじゃない。他のコとも、もう行けない。
「っ……わかっ、たっ……」
あっ。
吉野は悲痛そうに表情を歪ませて、走り去ってしまった。
本当にごめんな、吉野。
俺は、そばにいる愛くるしい妹じゃなきゃダメなんだ。
菜子が、どうしても好きなんだ。
ただの兄妹愛じゃない。
本当の恋なんだ……。