俊光と菜子のホントの関係
第15章 『兄チョコに隠されていた想いに……』
「俺……さ」
『うん』
「お前に……朝、言い忘れてたことがあって……。それで、電話したんだ」
ようやく頭に浮かんで出てきたセリフを、そのまま菜子にポツポツと話しだす。
『言い忘れていたこと? 私に?』
「……うん……」
『え……なに、それ……?』
菜子の声が、少し戸惑ったように聞こえる。
いつもの俺と違うと感じ取ったのかもしれない。
俺の緊張が伝わってしまっているのかもしれない。
確かに、声も上手く出せていない。喉の奥で何がつまってるみたいで、普通の声が発せられない。
声を震わせながら告白をした高橋の気持ちが、身をもってよくわかった。
好きなコに想いを伝えるのって、こんなにも胸がいっぱいになって押し潰されそうで、泣きたくなるもんなんだ……と。
そんな、人生で初めての告白を、
俺は――妹の菜子にしようとしている。
喉の奥でつまった呼吸を、腹の底から思いっきり吐いて通りを良くしてから、
俺は――切り出した。