俊光と菜子のホントの関係
第16章 『迫ってくる、もう一つの本命チョコ』
今のは……なんて? ていうか、誰の声?
「え……山本先輩。義理じゃないってことは、そのチョコって、あの……」
中の俊光君が真っ直ぐ前を向いたまま、尋ねるような口調で言った。
へ? 山本先輩? だから、誰?
隙間から、俊光君の視線をたどっていくと、
そこにはもう一人――横顔だけでもわかる、キレイで大人っぽいお姉さんがいて。
そして、そのお姉さんの手元には――
「っ!」
とーっても見覚えのある、細長い黒の小箱が!
あっあっあっ……あれって、もしかして……もしかしなくてもっ――
「ふふっ、そうよ。池崎君のためだけに用意した――とっておきの本命チョコレートよ」
「っ!」
キャーッ! 予感的中だよぉーっ!
てことはてことはっ……あ、あのお姉さんはっ――
「ワタシね、初めて見た時から、池崎君のこと……いいなぁって思ってたの」
「っ!」
キャーッ! またまた的中しちゃったよぉーっ! こんなの的中したって、全然嬉しくなぁーい!
俊光君を見てほわほわしていた気持ちが、お姉さんの衝撃的な告白によって、一気にザァーっと冷めちゃった。