俊光と菜子のホントの関係
第16章 『迫ってくる、もう一つの本命チョコ』
「あらぁ、どうして?」
「実は……それと同じチョコを今朝、誰よりも一番にって、俺にくれたコがいまして」
「……っ!?」
俊光君のセリフが直接私を名指ししたみたいに聞こえちゃったから、驚いてビクッと体を揺らしちゃった。
それ……私のことだよね。
私がここにいるのに気づいてない俊光君は、またお姉さんを真っ直ぐに見ながら、セリフを続けた。
「それで……そのチョコをくれたコが、
俺に『大好き』って言ってくれて……」
俊光君の言葉の一つ一つが、
私の胸を、ドキドキと鳴らす……。
「俺も……そのコのことが、大好きなんです。
だから、すみません……」
と……俊光君っ……。
俊光君が、
私のことを、また『大好き』って言ってくれた。
俊光君が、
キレイで大人っぽいお姉さんよりも、
子供っぽい妹の私を選んでくれた。
何だろコレ……夢なのかなぁ?
信じられない私は、自分の両側の頬っぺたを力いっぱいつねってみた。
ギャーッ、いだだだだっ、痛い痛いぃーっ! 私ってば、自分に容赦なさすぎーっ!
でも……夢じゃなかった。ちゃんと現実だった……。
嬉しい意味でも、頬っぺたが痛い意味でも、泣きそうだよぉ……。