俊光と菜子のホントの関係
第16章 『迫ってくる、もう一つの本命チョコ』
何で菜子がここに!? 明里ちゃん達と一緒にいたんじゃないのか!?
「えーと……あなたは、小学生? あ、でもスクールバッグっぽい物を持ってるから、中学生?」
山本先輩が菜子の童顔を見て、迷いながらも年齢を判断し、子供をあやすような声で訊いた。
「わ、私は小学生でも中学生でもなくて、高校生ですっ!
ていうかっ……取らないで下さいっ!」
「え?」
「そのっ……俊光君だけは、取らないで下さいっ!
私には、俊光君しかいないんですっ! 取られたらオワターなんです!
お姉さんはキレイで大人っぽいですから、どうか他をあたって下さいっ!」
「な……菜子……」
顔が見えなくても声だけでわかる、山本先輩に必死になって訴えてる感が。
あんなに迫っていた山本先輩も、すっかり身を引いたようにして菜子を見つめているだけだ。
お前なぁ……。そんなことを懇願すんなよ。可愛すぎるだろ。
あーヤバい。出来ることなら今すぐにでも抱きしめたい。
もちろん、ホントに今すぐに抱きしめるワケにもいかないから、必死な菜子の後ろで、俺も必死になって気持ちを抑えた。