俊光と菜子のホントの関係
第16章 『迫ってくる、もう一つの本命チョコ』
「僕なら、君のことを絶対にあきさせない。二度と他の人に気持ちが移らないように、僕のことをずっと好きでいさせてみせるよ。だから……どうかな?」
そのセリフがとどめの一撃となったのか、山本先輩は表情をみるみると華やがせていき――
「…………なる。ワタシ……佐原君を好きになる。
ていうか、もう……好きかもっ」
見事、佐原先輩にコロッといった。
「…………」
さっきまで山本先輩に振り回されていた俺達兄妹は、すっかり置いてけぼり状態。
いや、全然いいんですけど……あんまり簡単すぎやしませんか?
唖然として突っ立っていると、佐原先輩は穏やかな笑みをこっちに向けた。
「……じゃ、池崎君。僕達は先に行ってるから。そのコとゆっくり話してから来なね?」
「あ、はぁ……」
「にしても佐原君ったら、ワタシのことを好きならもっと早く言ってくれたっていいじゃない」
「僕も何度も言おうと思ったよ? だけど君がひっきりなしに他の人を好きになっていくから、付け入る隙を見極められなかったんだ」
「……それもそうよね。ごめんね、こんなワタシで。
でもこれからは、佐原君だけだからね」
「うん、ありがとう」
早くも恋人関係が出来上がった佐原先輩と山本先輩は、会話でイチャつきながらスタッフルームをあとにした。