俊光と菜子のホントの関係
第17章 『重なる、兄妹のホントの想い』
「わかったよ。したら俺……もう行くから」
「…………へぇ?」
俺はため息も交え、あたかも諦めたようにして言ってみせると、あんなに頑なだった菜子が少し気を弱まらせた。カーテンの中にいて姿が見えなくても、雰囲気で感じ取れた。
でも俺はあえて、菜子のその微妙な変化に気づいていないフリをして、
「じゃあな。カーテンを引きちぎらない程度で遊べよ」
「へっ? えっ?」
カーテンと一体化した菜子に向かってあっさりと言い捨てると、スタッフルームの出入り口へと歩く。
引き戸に手をかけガラリと開けた俺は、菜子の方へ振り返るとかもせずに、
前を向いたまま……無情にピシャンと閉めた。