俊光と菜子のホントの関係
第17章 『重なる、兄妹のホントの想い』
「――え……俊光くーん? ホントに行っちゃったのぉ?」
声を大きくして問いかけても、シーン……。なーんにも返ってこない。私がカーテンの中で、ひとりごとを言っているだけみたいになっちゃっている。
そ……そんなぁー、俊光くーん。あんまりだよぉー。
寂しくて虚しくて、カーテンの中でシクシクと泣きたくなった。
うぅ……こんなハズじゃなかったのにぃ……。
(その続きを……ていうか、改めて最初からちゃんと言いたい。お前の顔を見て、真正面からちゃんと気持ちを伝えたいんだ)
私だって、ホントは聞きたい。聞きたいからここまで来たのに……。俊光君の気持ちを、真正面からちゃんと聞きたかったのに……。
でも、さっきのことが恥ずかしい……。
でも……でもっ……。
うぅーーーー……!
やっぱり――聞きたいっ。今すぐに聞きたいっ。
私はさっきとは逆回りをして、巻き付けたカーテンをほどいて姿を出す。んで、急いで俊光君を追いかけるべく、スタッフルームの出入口へ猛ダッシュ!
「待って、俊光君っ……!」
慌てながら引き戸に手をかけて、ガラリと開けようとした……ら、
「っ、ひゃあーっ!」
いきなり誰かに後ろから抱きつかれ、その弾みでスクールバッグを思いっきり床に落としちゃった。