俊光と菜子のホントの関係
第17章 『重なる、兄妹のホントの想い』
ど、どうしよーっ。こんなにがっつりバックハグなんてされちゃったら、私の胸のドキドキも、変なムズムズウズウズも、俊光君に伝わってバレちゃうっ……!
あ……あれ?
私の背中を、なにかがトクトクと叩いてくる。
え? これって……俊光君の胸の鼓動……?
うそ。俊光君も私に、こんなにも鼓動が伝わっちゃうぐらい、ドキドキしてるの?
俊光君……。
私とおんなじなんだとわかっちゃったら、胸が熱くなって、すごく恋しくなってきちゃうよ……。
「……菜子」
「はっ、はひぃっ」
俊光君にまた耳元で名前を囁かれた私は、ゾクッと身を振るわせて、マヌケた返事までしちゃった。
これ、絶対笑われるパターン――
「ぷはっ。はははっ……」
わーん、やっぱりぃー。
「もーうっ、そんなに笑わないでよぉーっ」
「いや、『はひぃっ』は笑うだろ。こういう時にまでお笑いに持っていくなっての」
「好きでお笑いに持っていったんじゃないんだってばぁ」
うぅ……せっかくのラブ的なシチュなのに、『はひぃ』でぶち壊しだしー。私いたたまれなくて、胸だけじゃなく顔まで熱くなっちゃったよぉ。
「はぁーあ。しょうがない妹だなー」
「うっ……。ど、どうせっ……」
呆れたみたいに言われて、ちょっと拗ねた私に――
「しょうがない妹だけど……………好きだよ」
「…………えっ」
強めにバックハグしていた俊光君が、私に体を預けるように少しだけ寄りかかってくると、
今度は優しく柔く、私を包み込んだ。
「と……俊光君っ……?」
振り向こうにも、恥ずかしさMAXで全身硬直しちゃって、全くもって振り向けない。
でも……振り向いて表情を見なくても、俊光君の『好き』という気持ちが、巻き付いた腕からひしひしと伝わってくる。