俊光と菜子のホントの関係
第17章 『重なる、兄妹のホントの想い』
「それは……大事な妹としてもだけど……」
「……あ」
俊光君が電話と同じセリフを、ゆっくりと口にする。
「それだけじゃなくて、俺は、お前のことを……」
「…………」
スマホ越しとは違う、俊光君のリアルな低い声で、
私に――
「一人の女の子として――好きなんだ……菜子」
電話の続きを、ふわりと囁いて教えてくれた。
俊光君の、ホントの想いを教えてくれた……。
「っ……俊光……君……」
どうしよ、嬉しー……。
出そうとしてないのに、私の目から勝手に溢れ出ちゃう、想いの涙。
頬っぺたをつたって顎の先からポタポタと滴ると、巻き付いてる俊光君の腕の袖に落ちて、じわじわと涙の染みをつけながら濡らしちゃっていく。
「ふっ……うぅー……俊光くーん……」
声まで漏れて泣き出しちゃったら、俊光君は私の大好きな手で頭をポンポンとしてくれた。
俊光君……俊光君っ……。
「わ……たしもっ……」
袖を濡らしちゃったことを謝るよりも先に、巻き付いてる腕をぎゅっと握った私は――
「私も……俊光君のことが――好きっ……。
お兄ちゃんとしても、一人の男の人としてもっ……
大好きなのっ……!」
ホントの想いを、俊光君に伝えた。
私の手からも伝わるように、腕をもっと強くぎゅうっと握る。
俊光君が、どうしようもなく……好きだよ。
「……っ、菜子っ――」
「ひゃっ……」
いきなり半ば強引に回れ右をされた私は、
そのまま俊光君に――真正面から抱きしめられた。