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俊光と菜子のホントの関係

第17章 『重なる、兄妹のホントの想い』


「菜子、お前……」

「だって、私のために俊光君にウソをつかせたくなかったし、サボリ魔にしたくなかったんだもん」

「サボリ魔って……俺は別に、」

「どうせ俊光君のことだから、私が一人になったら心細くなるんじゃないかとか思ってるんでしょう」


 スゲー読まれてる。


「私、もう高校生だよ? 衝撃的なことを聞いちゃったから一人じゃいられないって泣くほど、子供じゃないんだからねっ」


 山本先輩に『小学生?or中学生?』と訊かれる程の童顔では、説得力に欠けるぞ。


「確かに……俊光君とお母さんが、本当のお兄ちゃんとお母さんじゃなかったのは、かなりショックが大きかったかもだけど……。でも、血が繋がってなくても、お父さんとお母さんから打ち明けられても、ずーっとずーっと家族でいられるって、信じていていいんだよね?」

「菜子……」

「だから私、大丈夫だよ。お父さんとお母さんの前でも普通に出来るから」


 いつものように無邪気に振る舞ってるけど……握りしめてる手が少しだけ震えてる。

 菜子のヤツ。俺が気が引けないように、不安を内に隠してる。


「……わかったよ。バイトにはちゃんと出るから」

「うんっ」

「出るからさ……また、抱きしめてもいいか?」

「へぇっ!?」


 ボンッと赤くした菜子の返事を待たずに、俺は座ったまま菜子の肩を抱き寄せて、腕の中に閉じ込めた。


「俊光君っ、あの、」

「はぁー……落ち着くな」

「え?」

「お前の温もりって、スゲー落ち着くし安心する」

「あ……」

「ありがとな、菜子」

「っ、俊光くっ……ふっ、うぅー……」


 菜子は俺の背中に腕を回してしがみつくと、堰(せき)を切ったように泣き出した。

 顔をぐちゃぐちゃにして泣いてるのをみると、やっぱり『子供じゃないんだからねっ』ってのは説得力に欠けるよな。


「ごめんねぇ、泣いてばかりでっ……」

「いいって、無理すんな。俺の方こそごめんな。大事なことを言ってしまったばかりに、不安にさせて」


 菜子は俺の腕の中で、首を横に振った。


「でも大丈夫。俺達四人は、ずーっと家族でいられるから」

「うん……」


 菜子にも、そして俺自身にも、心に染み入るように言い聞かせ、

 もっと安心したくて、させたくて、

 菜子を巻いている腕の力をギュッと込めた。


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