俊光と菜子のホントの関係
第17章 『重なる、兄妹のホントの想い』
泣き止んできた頃合いを見て、菜子の顔を覗き込んでみる。
「……ぷはっ。お前泣きすぎて目が『3』になってるぞ」
「えぇーっ。やだーっ、見ないでよぉーっ」
俺が、泣きつくした腫れぼったい目をいじると、菜子は恥ずかしそうにして両手で顔を覆って隠した。
もっと一緒にいたいけど……これ以上は時間が許してくれないよな。菜子のいう『サボリ魔』にもなってしまう。
「いい加減、そろそろ行かないと……」
「あっ……俊光君っ」
立ち上がろうとした俺を、菜子が裾を掴んで止めた。
「なんだ?」
「あっ、あのね、そのぉー……俊光君とは、兄妹とも思っても、
こっ……『恋人』とも思っても……いいんだよね?」
「えっ……!?」
お前なぁっ……。このタイミングでそれを訊くって、ズルくないかっ? しかも、恥ずかしそうにして。
せっかくお前が必死になって、俺をバイトに出させようとしてくれたから行こうとしてたのに。鈍るだろ。
「……っ、だぁーもうっ」
「ひゃあっ」
俺は菜子をまた引き寄せると――おでこに唇を当てた。
「えっ……俊光くっ……あっ」
おでこから、今度は右側の頬にも当てる。
唇で触れるたびに、鼓動が高鳴っていくのがわかる。
俺だけでなく……菜子からもトクトクと聞こえてくる。
「と……俊光君……」
「たくっ、どんだけ可愛いんだよ」
と、つい言ってしまった照れ隠しで、おでことおでこをコツリと合わせると、そこからお互いの熱が伝い合う。
ここが図書館のスタッフルームだってことも、十分に心得ている。
だけど……この妹(菜子)のせいで、少しも抑えきれそうにない。
TPOを振り払ってでも、もっと触れたくなった。